HOME > 法律相談Q&A

法律相談Q&A

賃貸借契約が法定更新となった場合、連帯保証人の責任はどのようになりますか?

(1)民法619条は、賃貸借契約につき黙示の更新がなされたときは、賃借人の提供した敷金以外の担保は消滅 する旨規定しており、右趣旨によれば、第三者がなす保証債務も更新後には及ばないとも考えられますが、判決例は、法定更新の場合も原則として連帯保証人の 責任が存続することを認めています。
 例えば、法定更新後の連帯保証人の責任について争われた東京地裁昭56.7.28判決は、「借家法の規定を受ける建物賃貸借は期間の更新が原則であり、 いわば期間満了と同時に更新の効果が自動的に生じる客観的な制度ともいえるもので、実際においても、賃借権は更新によって存続することは常識化しており、 賃貸借の保証債務はほぼ一定のもので、保証人の予想しない多額のものが通常発生しないことからしても、保証人たる第三者といえども、予め、賃貸借が更新に より存続することを十分に予想でき、また予想すべきであるから、保証人と賃貸人との間で特約がない以上、原則として、賃貸借更新後も賃借人の債務を保証す る責任は存続する」と判示しています。
また、合意更新に関する事案ではありますが、最高裁平9.11.13判決も「建物の賃貸借は、一時使用のための賃貸借等の場合を除き、期間の定めの有無に かかわらず、本来相当の長期間にわたる存続が予定された継続的な契約関係であり、期間の定めのある建物の賃貸借においても、賃貸人は、自ら建物を使用する 必要があるなどの正当事由を具備しなければ、更新を拒絶することができず、賃借人が望む限り、更新により賃貸借関係を継続するのが通常であって、賃借人の ために保証人となろうとする者にとっても、右のような賃貸借関係の継続は当然予測できるところであり、また、保証における主たる債務が定期的かつ金額の確 定した賃料債務を中心とするものであって、保証人の予期しないような保証責任が一挙に発生することはないのが一般であることなどからすれば、賃貸借の期間 が満了した後における保証責任について格別の定めがされていない場合であっても、反対の趣旨をうかがわせるような特段の事情のない限り、更新後の賃貸借か ら生ずる債務についても保証の責めを負う趣旨で保証契約をしたものと解するのが、当事者の通常の合理的意思に合致するというべきである。」と上記東京地裁 判決と同趣旨の内容を述べています。
(2)もっとも、同最高裁判決は「賃借人が継続的に賃料の支払を怠っているにもかかわらず、賃貸人が、保証人にそ の旨を連絡するようなこともなく、いたずらに契約を更新させているなどの場合に保証債務の履行を請求することが信義則に反するとして否定されることがあり 得る」とも判示しており、また、東京地裁平成10.12.28判決は、同最高裁判決を引用した上で、①賃貸人が、賃借人との間で合意更新に至らず、法定更 新となった旨を連帯保証人に直ちに伝えていなかったこと、②賃借人が賃料を延滞しているにもかかわらず、連帯保証人に対しその旨を直ちに伝えていなかった こと、③従前は合意更新の度ごとに連帯保証契約書を新たに作成していたが今回の法定更新の際には連帯保証契約書が作成されなかったこと等を認定し、法定更 新後に負担した賃料等の債務については連帯保証責任を負わない特段の事情があったと判示しています。
(3)以上を踏まえ検討しますと、契約条項に「丙は、乙と連帯して、契約期間中(合意更新及び法定更新された場合 も含む)本契約から生じる乙の一切の債務を負担する」などと記載されているような場合には、「(当初の)賃貸借の期間が満了した後における保証責任につい て格別の定め」(上記最高裁判決参照。)があるものと認められ、法定更新後も連帯保証人の責任は存続するものと認められます。
ただ、賃貸人が不存在となった場合の管理会社としては、念のため、従前の契約期間満了後直ちに、賃貸借契約が法定更新された旨を連帯保証人に通知し、新たに連帯保証人契約をするのが得策と言えるでしょう。