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法律相談Q&A

相続人の一人に予め相続を放棄させたいのですが、何か方法がありますか?

日本の民法上、相続開始前に予め相続を放棄することはできません。 相続開始前の時点で採りうる方法としては、遺留分の放棄(民法第1043条第1項)が考えられます。
この方法は、(1)被相続人が誰かに全財産を相続させる旨の遺言書を作成し、かつ、(2)放棄する相続人が家庭裁判所に対して遺留分放棄の許可申立てを行い許可審判を受ける必要があります。
(1)については、公正証書遺言(民法第969条)を作成するのがよいでしょう。公正証書遺言は、自筆証書遺言と異なり遺言書の紛失や偽造の危険を防ぐこ とができ、また、自筆証書遺言及び秘密証書遺言と異なり方式違反等により無効となるおそれがなく、家庭裁判所による検認も不要とされるからです(民法第 1004条第2項)。
(2)の遺留分とは、一定の相続人が相続開始後に法律上取得することができる相続財産の一定の割合のことをいいます(民法第1028条以下)。この遺留分 は、相続放棄と異なり、相続開始前に放棄することができますが、被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所に遺留分放棄の許可申立てを行ったうえで許可の審判 を受ける必要があります。家庭裁判所の許可が必要とされた理由は、不当な圧力その他により無理やり遺留分放棄を強いられることを防止するためと考えられて います。
遺留分放棄の許可申立てにあたり必要とされる添付書類は、遺留分を放棄する相続人及び被相続人の戸籍謄本、被相続人の住民票ならびに遺留分を放棄する対象となる被相続人の財産目録になります。
実務的には、(1)遺留分を放棄する相続人自身が申立を行わなければならないこと、(2)被相続人が遺留分を放棄する相続人に対して財産を開示することに難色を示し、財産目録を作成したがらないことなどから、なかなか申立てしづらいようです。   また、裁判所は、その相続人が被相続人からある程度の生前贈与を受けていない場合には、申立人の真意による遺留分放棄か慎重に判断するようです。