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法律相談Q&A

私は破産手続開始決定を受けましたが、滞納した国民健康保険料を払わなければなりませんか?

国民健康保険料は、「市町村が徴収する保険料」に該当し、地方自治法231条の3第3項に規定する法律で定め る「歳入」とされています(国民健康保険法79条の2)。「歳入」については、督促を受けたものが不納付の場合、地方税法の滞納処分によって処分すること が可能とされますが(地方自治法231条の3第3項)、地方税法によれば、市町村税に係る滞納処分については国税徴収法に規定する滞納処分の例によるとされています(地方税法331条第6項)。
そうしますと、国民健康保険料は、破産法でいうところの「国税徴収の例によって徴収することのできる請求権」となりますので、同請求権を含む上位概念である「租税等の請求権」(破産法97条4号参照)として扱われることになります。
「租税等の請求権」については、破産法上、その発生時期及び具体的納期限(その期限までに納付がなされない場合に督促状が発せられさらに滞納処分がなされることになる期限)により、次のような債権に種別されます。
まず、「租税等の請求権」が破産手続開始決定前の原因に基づく債権にあたる場合には、具体的な期限が 破産手続開始決定当時未到来ないし具体的納期限から1年を経過していない債権については財団債権(148条1項3号)となり、具体的納期限から1年を経過 した債権については優先的破産債権(98条1項)となります。
破産財団が十分に形成できれば破産財団から支払われますので破産者個人が支払わなくて済みますが、破産財団が十分に形成されなければ未払分につき破産者個 人が自由財産の中から支払いをすることとなります。なぜなら、「租税等の請求」は非免責債権とされ破産手続によっても免責されないからです(253条1項 1号)。
次に、「租税等の請求権」が破産手続開始決定後の原因に基づく債権にあたる場合、それが「破産財団の管理、換価及 び配当に関する費用の請求権」(148条1項2号)に該当すれば財団債権(148条1項2号)となり、同債権に該当しなければ破産者の自由財産を引き当て とする債権になりますが(なお、今回は個人破産を前提としておりますので、破産法上政策的に認められた劣後的破産債権(97条4号、99条1項1号)に該当することはないと考えられます。なぜなら、上記劣後的破産債権は破産者の自由財産が観念できない法人破産の場合に債権者が不利益を被らないよう例外的に 設けられた規定と解されているからです)、「租税等の請求権」としての国民健康保険料は、一般的にサービスを受ける対価と考えられているので、「破産財団 の管理、換価及び配当に関する費用の請求権」には該当しないと考えられています。そうしますと、国民健康保険料の未払分については破産者個人が自由財産の 中から支払いをすることになります。
もっとも、自治体の条例等で保険料の減免が認められていれば、申請により保険料の減免ないし徴収猶予を受けられることもありますので(国民健康保険法77条)、まずは自治体の担当課に問い合わせをするのがよいでしょう。