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法律相談Q&A

当社が物品を預けた先が倒産し、運送業者がその倒産会社に対する債権があるから留置権があるはずだといって返してくれませんが、そうなのでしょうか。

下記表のとおり、商事留置権は第三者の物について成立しませんから、留置権は成立しません。これに対して民法上の留置権、運送人の留置権は 第三者の物であっても成立しますが、当該物の運送賃やそれに付随した費用に限られますので、極めて限定されますから、それを返済して取り戻すことが可能で す。なお、破産した場合には民事上の留置権は効力を失います。
  民法上の留置権 商事留置権 運送人の留置権
根拠規定 民295条 商521条 商589条で準用する商562条
成立要件  
  • 当事者双方が商人であること
  • 当事者双方のために商行為によって生じた債権であること(占有所得の原因行為(寄託・委任など)が債務者との間の商行為たることを要し、占有自体は第三者から取得しても可)
  • 債権が弁済期にあること
  • 被担保債権は、運送品に関し受け取るべき報酬・運送賃その他委託者のためにした立替または前貸しであること。
    ※ 運送品とは当該運送契約の目的たる運送品をいう。(結果として、被担保債権と留置物たる運送品との間には関連性がなければならないことになる。)
    ※ 損害賠償請求権にまで及ばない。
  • 各債権が弁済期にあるか否か争いあり。必要説が通説。
    ※ 委託者が商人であることは不要。
留置物と被担保債権との間の牽連性 必 要 不 要
※ 但し、被担保債権が債権者と債務者との取引によって生じたことを要するから、他人から譲り受けた債権に留置権は認められない。
必 要
目的物の所有権の要否 不 要 必 要(但し、占有取得時のみで足る) 不 要
特約による排除 可 能 可 能 可 能
先取特権 あり(民311,318) 特別の先取特権(民311,318)→別除権あり(破65) 運送賃・付随の費用につき自己の手持ちにある運送品の上に先取特権を有する(民318)
留置権の効力 競売権あり(民執195) 民法の一般原則(民296以下)による。 運送品に関して受け取るべき報酬・運送賃、その他委託者のためにした立替または前貸しに限り、運送人として特殊の留置権あり。
債務者破産の場合の破産財団への効力 失 効
(破93Ⅱ)
別除権あり(破65 別除権あり(破65)
留置権の効力 競売権あり
(民執195)
商法に規定なく民法の一般原則(民296以下)によるので、競売権あり。 破産や会社更生の場合に商事留置権の一種として特別の効力あり(破92,93、会社更生123 228Ⅰ)