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法律相談Q&A

この度、特殊法人と取引を始めることになりました。交際等にあたり、注意すべき点はありますか?

国や地方公共団体との取引において公務員と交際等をする場合と同様の注意が必要です。とりわけ、贈収賄 規制に抵触するような行為は避けなければなりません。また、贈収賄規制に抵触しないと考えられるときでも、特殊法人等の職務の公正を疑わせるような働きかけを行うことは避けるべきです。
まず、国家公務員の職業倫理については、下記のような規制があります。
(1) 刑法の贈収賄罪(刑法197条以下)により、賄賂の収受・供与等につき処罰の対象となります。 具体的には、「公務員が、その職務に関し、賄賂を収受し、又はその要求若しくは約束をしたとき」は、当該公務員(収賄者)は5年以下の懲役という刑事責任 を問われます。請託を受けた場合や、不正行為の対価として賄賂を受け取る場合には、さらに重い刑事責任を問われることになります。 また、公務員に対して「賄賂を供与し、又はその申込若しくは約束をした者」、すなわち贈賄者も3年以下の懲役又は250万円以下の罰金という刑事責任を問 われます。 なお、ここでの「賄賂」とは、公務員の職務に関する不正の報酬としての一切の利益をいい、人の需要または欲望を満たすものであればこれに当たりますので、 金銭や飲食物の提供は言うまでもなく、公私の職務その他有利な地位を与えたりすることも含まれます。ただし、一般社会における慣習ないし社交的儀礼の範囲 内であれば「賄賂」に該当しないので、個別の検討が必要となります。
(2) 次に、国家公務員倫理法及び国家公務員公務員倫理規程により、以下のような行為が禁止されています。
1.贈与(規程3条1項1号)
2.供応接待(規程3条1項6号ないし8号)
3.貸付(規程3条2号、3号)
4.役務提供(規程3条1項4号)
5.未公開株式の譲受け(規程3条1項5号)
※1、2について、広く一般に配布するための記念品の授受、職務として出席した会議等で簡素な飲食物の提供を受けること、多数の者が出席する立食パーティー等は許容されます(規程3条2項)。
※2の飲食について、公務員が自己費用負担する場合には許容されます。ただし、自己費用が1万円を超える場合には、倫理監督官への届出が必要とされます(規程8条)。
次に、特殊法人等の職業倫理について、国家公務員の職業倫理に準じて下記のような規制があります。
(1)贈収賄規制について
個別の特殊法人に関する法律の中で、贈収賄に関する罰則が規定されています。
特別刑法ではあるものの、賄賂性の判断等については、刑法上の贈収賄罪と同様に考えることになります。
(2)倫理規程の作成について
国家公務員倫理法第42条(特殊法人等の講ずる施策等)により、1.法律によって特別に設立されたこと、2.職員がみなし公務員であること、3.政府の出 資を受けていることの3要件を充足すると、「特殊法人等」として国家公務員倫理法・国家公務員倫理規程に準じた施策を講じなければなりません。
なお、各社の具体的な倫理規程については、国家公務員倫理規程をそのまま用いるのではなく、独自の企業倫理規程を設けている会社が多いようです。
(3)特殊会社の子会社について
子会社そのものが特別法により設立されていない限り、親会社について定める特別法の規制は原則として及びません。また、親会社と子会社は、出資比率の如何にかかわらず全く別の法人であり、当該子会社の職員はみなし公務員には当たりません。
もっとも、子会社の職員であるからといって安心するのは危険です。贈収賄規制にはかからなくても、倫理上問題になることは大いに考えられるからです。
以上から、国や地方公共団体との取引において公務員と交際等をする場合と同様の注意が必要です。